里親という選択肢

犬や猫を迎えたいと思ったら

保護動物には、純血種を含む多種多様な犬や猫がいるのをご存知ですか。保護の経緯は様々ですが、どの子も新しい家族が見つかるまで一時的な場所で暮らしています。

収容/保護に至る経緯の事例

・ 飼い主の死亡/高齢化により飼育が困難になった
・ 引っ越しの際に連れて行けなかった
・ 野良猫が敷地内で産んだ子猫を保護した
・ ペットショップで購入したが、しつけが出来なかった
・ 経済的理由で飼育費が払えなくなった
・ 自分/家族が動物アレルギーを発症した

活動中に保護されるケース

・ 多頭飼育崩壊現場
・ ネグレクト/動物虐待現場
・ TNR(地域猫)活動(怪我や病気、幼齢でリターン出来ない野良猫など)

あなたに合った子が見つかる

保護される犬や猫は、その種類や年齢、健康状態、性格などが十匹十色だからこそ、希望する家族とより相性がいい保護動物を見つけることができます。ここでは、保護犬や猫を家族として迎えた場合と、子犬や子猫をペットショップで購入した場合の違い※一例を比較します。

< ペットショップで買う場合と、里親になる際の違い >

保護動物に出会う場所

保護動物の里親になる選択肢は、地域によっても異なります。以下は一般的な例ですが、お住いの地域ではどこで保護動物に出会えるのか、検索してみましょう。お住いの地域で里親募集されている犬や猫の情報を見るには、市や、お迎えに行ける地域などのキーワードを検索します。
例:「京都市 保護犬 里親募集」、「京都 大阪 保護猫 譲渡会」

犬や猫を保護している機関/人

・ 自治体施設(保健所、愛護センター等)
・ 定期/単発で開催される譲渡会
・ 保護団体のシェルター
・ 保護活動をしている保護主
・ 里親マッチングサイト(団体/一般)
・ SNSで里親募集されている犬や猫(団体/一般)

 ※トライアル/譲渡の際は、お互いのトラブル防止のため、必ず契約書を結びましょう。

里親になるまでの流れ

実際に里親になるまでの流れは、保護されている機関や団体、譲渡会によって異なります。共通している点は、里親希望者が希望する保護動物を選び、申込書(エントリーシート)を記載、その後希望動物とのマッチングと「終生飼養可能かどうか」の確認や、飼育に関する注意点等の説明があることです。
里親を希望する場合は、ペット可の住宅である事や、家族全員が賛成している事など、飼育できる環境かどうかを事前に確認しておくとスムーズです。

譲渡会で里親になる際の流れ(一例)
  1. 譲渡会見学
    •  自身の希望やライフスタイル、家庭環境に合った【年齢、性別、性格、健康状態】の子を探します
    • 可能な限り、同居人と一緒に行きましょう
    • 当日参加していない猫もいるため、気になる方は他にどんな子がいるか保護主に聞いてみましょう
  2. 申し込み
    • 希望の保護動物が見つかったら保護主に声をかけその子の普段の様子などを聞きましょう
    • 里親申し込み用紙に記入し、スタッフか保護主に渡します
      (希望する動物と個別で触れ合える場合もあります)
  3. 個別面談
    •  譲渡条件は、保護動物/保護主により異なります。譲渡費用を含め、事前に確認しましょう
    • 申し込み完了=譲渡決定ではありません。申し込み用紙を元に、飼育環境等について保護主と面談します
    • 当日はこれで終了。後日、保護主から連絡があります
  4. 訪問
    • 自宅での飼育環境や脱走防止策等を確認するため、事前に自宅訪問をしたり、保護主/猫の月齢に合わせてトライアル当日にそれらを確認する場合もあります
    • 飼育に関する質問や、トライアル時の契約書など事前に確認しましょう
  5. トライアル
    •  通常、正式譲渡の前にトライアル期間(通常約2週間)を設け、同居人や先住動物、生活環境との相性などを確認します
      ※その子の譲渡/終生飼養を希望している事が前提です
    • この時点で、トライアル期間や所有権に関して明記された契約書を交わします
  6. 正式譲渡
    • トライアル終了後、譲渡契約書に両名が署名し、所有権が移行した時点で正式譲渡完了です
    •  譲渡後に質問や気になる点がある場合は、保護主まで連絡してください
    •  動物が脱走した場合は至急保護主に連絡しましょう

「飼いたい」と「飼える」の違い

犬や猫を迎えたいと思ったら、どんなことを想像しますか?好きな種類や可愛い姿などを思い浮かべる方も多いと思います。

しかし、犬と猫の平均寿命は約15年。近年では20年近く生きる猫も珍しくありません。飼い始めてから「やっぱり世話できない」を防ぐため、迎えたい犬や猫を実際にお世話できるかどうか、以下のチェックリストを使って「事前に考えること」が大切です。

動物を迎える前に ~ 事前に知ってトラブルを防ごう! ~
  1. 住居は、ペット可の住まいですか
    ペットの飼育に関する規制、引っ越しや転勤の予定はありませんか

    飼育遺棄で一番多い理由は、飼い主の「引越し」と「高齢化」です

  2. 希望する動物は、ライフスタイルに合っていますか

    十分に運動させる時間、安全・快適に暮らせる飼育環境ですか

  3. 家族は全員、その動物を迎えることに賛成していますか

    一人でも反対の場合、トラブルの原因になるかもしれません

  4. 家族に、動物アレルギーがある人はいますか  
    また、アレルギーが出るかもしれない新生児を迎える予定はありますか

    大人で突然アレルギーを発症したり、個体によりアレルギーが出る場合も

  5. 毎日欠かさずお世話をする時間を確保できますか

    犬の散歩や猫のトイレ掃除、一緒に遊ぶ時間など。個体差もあります

  6. ご自身の年齢と体力で、お世話をし続けられる動物ですか

    飼い犬・猫の平均寿命は15年。10年後の生活がイメージできますか

  7. 近隣に迷惑がかからないよう、配慮できますか

    犬や猫の鳴き声、匂い、脱走防止など、事前に対策しましょう

  8. 留守の際、動物の面倒を見てくれる人はいますか
    (ペットシッターという選択肢もあります)

    急な用事、旅行、入院。留守中にどうするか想定しておくとスムーズです

  9. ペットが負傷したり年老いたとき、介護する覚悟がありますか

    ペットの怪我や病気は突然起こるかもしれません

  10. ペットの生涯で必要な、様々な費用を払えますか

    フード、おやつ、医療費、消耗品など、飼ってみると意外にかかります

  11. ご自身の人生設計に、その子も入っていますか。

    転勤、引越し、結婚など、状況が変わっても一緒に暮らせますか

  12. 万が一飼えなくなった場合、引き取ってくれる人はいますか

    家族、親戚、友人など、一度相談してみましょう

  13. ペットの死と向き合う覚悟はありますか

    かけがえのない日々の先には、いずれその時が来ます。生涯の長さに関わらず、最期まで一緒に居られることは、その子が恵まれている証拠です

ペットショップで買う前に

以下は、ペットショップでの購入を検討されている方向けのチェックリストです。地域の自治体施設では、購入され人馴れした純血種が収容されることも珍しくありません。一度家族として迎えた命を、途中で手放すことのないよう事前に確認しましょう。

ペットショップで買う前に
  1. 迎える前に、その種の特徴を調べましたか。
    (犬種によりよく吠える、などの特徴があります)
  2. その子犬や子猫が、どのような環境の繁殖場で生まれたか確認しましたか。
    (繁殖犬/猫の健康状態や近親交配の有無により、病気になりやすい場合があります)
  3. その種のかかりやすい病気を確認しましたか。
    (折れ耳のスコティッシュフォールドのように、関節症を引き起こす確率の高い種があります)
  4. 購入する前に、ペットショップから「18項目」の説明を受けましたか。
    (動物愛護管理法により、生体販売業者には「18項目」の対面説明義務があります)
  5. 購入時に装着が義務とされるマイクロチップについて、確認しましたか。
    (購入後、動物病院等でマイクロチップの飼い主情報を更新する必要があります)
  6. お店で犬や猫を買う前に、行き場がない保護動物の里親になることを検討しましたか。
    (犬や猫は、私たちが欲しい時に衝動買いするモノではありません。ご自身の家庭やライフスタイフにあった子に出会うためにも、様々な選択肢を検討しましょう)

“ずっとは飼えない”と思ったら

「犬や猫と暮らすことを考えたけれど、10年、20年もお世話できるかわからない」
「今は飼える環境にいるけれど、数年以内に転勤や引越しの可能性がある」

様々な理由から「今は迎えない」と判断することも、実はとても大切なこと。そして、せっかく飼える環境にいるのであれば、一時的に一緒に暮らしてお世話をする「預かりボランティア(またはフォスター)」という選択肢もあります。

卒業までの数年間や引っ越しまでの期間、犬や猫たちを我が子のように迎え日々のお世話ができる方は、地域の保護団体に直接お問い合わせください。実際に動物を預かる際には、双方のトラブル防止のため所有権や預かり期間等に関して明記された契約を結びましょう。(契約書が必要な方は、こちらをご活用ください)

動物が亡くなったら

大切にお世話した動物が亡くなった場合、大きく分けて2つの選択肢、⑴土葬と⑵火葬があります。実際にご利用の際は、お住いの地域の霊園や火葬場等を検索し直接お問い合わせください。

土葬と火葬について

<土葬>
⑴私有地であれば埋葬可能
⑵他社の私有地や公共地への埋葬は違法

<火葬>
自宅で火葬:違法
⑴合同葬:複数の遺体を一緒に火葬し一箇所に埋葬
⑵個別葬:一体ずつ火葬し、当日収骨または後日返骨
➢ 行政:①一般廃棄物として焼却(清掃局)
   ②ペット専門火葬場(少ない)
    →1.合同火葬(納骨/埋葬/法要or返骨)
   2.個別火葬
     3.納骨・埋葬/法要
➢ ペット霊園:①合同火葬→納骨/埋葬/法要
      ②個別火葬→1.返骨(自宅安置/納骨/埋葬)
            2.納骨/埋葬/法要
移動火葬車:個別火葬→1.返骨(自宅安置/納骨/埋葬)
           2.納骨/埋葬/法要

※牛、馬、豚、羊(ポニーやミニブタ含む)は、法律上獣畜と定義されるためペット霊園での火葬はできません

里親は2匹を救う

保護されている犬や猫を家族として迎えることは、譲渡される子に加え、さらにその子がいたスペースに新たに保護される子の2匹の命を救うことに繋がります。収容される子たちの過去に何があったかは誰にもわかりませんが、どんな子にもセカンドチャンスが与えられ、生涯その子らしく暮らせますように。それを可能にするのが、「里親になる」という優しい選択です。