飼えなくなった方へ
「今まで家族として共に暮らした犬や猫を、やむを得ない事情で手放す事になった…」
飼い主にとっての別れは辛いことですが、理由もわからずある日突然あなたと離されるその子は、あなたの帰りを待ち不安で仕方がない日々を送ることでしょう。せめて、その後もその子が適切をケア受け、愛情溢れる家庭で暮らせるように。その子が行く先を考え決めることは、あなたの最後の責任です。
緊急の場合
「飼い主の急逝で残された家族も引き取れない」など、緊急で譲渡先を見つけなければならない場合、まずは親戚や友人、ご近所の方など、身近に引き取れる方がいないか聞いてみましょう。それでも見つからない場合は、お住いの地域の民間保護団体を検索し相談しましょう。その際、飼えなくなった理由は一行で記載し、⑴該当動物の詳細(年齢、性別、種類、性格、健康状態等)と、⑵あなたにできること(預かれる期間、負担できる金額、搬送など)を箇条書きで記載すると伝わりやすくなります。
自治体施設と民間保護団体の違い
◆自治体施設
役 割:市民がやむを得ない事情で犬や猫を飼えなくなった場合に、引取り業務を行うこと
※その際引き取り手数料が発生し、業務や施設の運営費は税金でまかないます
※新設の愛護センターを除き、”その動物を生かし譲渡先を見つけること”が役割ではありません
収容後:収容された動物は、その後譲渡適合か否か判断されます。適合の場合は里親募集をされますが、新しい飼い主が見つかるまで、夜間は誰もいない施設で生きることを強いられます。譲渡不適合の場合は殺処分され、その判断基準は自治体により異なります。
※新設の愛護センターを除き、多くの自治体施設は収容後に処分することを主な目的として建てられたため、空調設備や収容動物の適正管理/QOL維持は主な業務ではありません。
◆民間保護団体
役 割:動物を救うという想い/目的で発足された保護団体の場合、行き場を失ったり、保護を必要とする犬や猫を救うこと
※犬は犬だけの保護、猫は猫だけを保護する団体が多く、活動内容や収容数は各団体により異なります。多くの場合、運営費は市民による寄付や、団体メンバーの自費で賄われています。
※認定NPO法人などの場合は、法人からの寄付を受けている場合があります。
収容後:引き取り可能かどうかは、その時の収容数や預かりボランティアの有無により異なります。収容後、人慣れや不妊去勢手術など譲渡の準備ができた動物から里親募集されます。譲渡に繋がらない場合、団体が終生飼養する責任を負います。収容した動物が不治の病/重度の怪我などで苦しんでいる場合は、安楽死という選択がされる場合もあります。
保護をお願いした場所で得られるQOLは民間保護団体/個人保護主により異なるため、「とりあえず託したから安心」ではなく、保護された後に適切なケアを受けられる場所かどうか、現在保護されている動物を見て判断すると良いでしょう。例えば、1つのケージに複数匹の成猫が常時過密状態で保護されている施設は、適切な飼育をしているとは言えません。お願いするその子を連れて行った際、悪臭もせず部屋が片付いており、お世話する人に対して適度な頭数のみが保護され、既に収容されている子が元気な保護施設は、安心して預けられるでしょう。
また、通常団体/保護主が犬や猫を引取り保護するには、その子の隔離場所やトイレ等備品一式、日々のフード、ワクチンなどの医療に数万円以上の費用がかかり、毎日お世話をする時間も必要になります。また、里親さんに繋げるために譲渡会へ参加したり、新しい家庭を訪問するなど、正式に譲渡されるまでにはいくつもの工程があります。最後まで適切なケアをお願いするからには、それに必要な費用の負担や、里親募集の拡散の手伝いなど、役割分担で行いましょう。
時間がある場合
高齢の飼い主が近い将来施設に入所する場合や、闘病生活を送る飼い主など。動物の年齢と平均寿命を考えた時に、いつか飼えなくなる日がやって来る… そんな時は、今から親戚や友人、ご近所の方などに引き取れる方がいないか聞いてみましょう。身近な方に引き取ってもらうことで、飼い続けられない事が気がかりな飼い主さんにとっても、安心に繋がるでしょう。個人同士で譲渡する際は、所有権の移行を書面で残しておくと、万が一のトラブルを防ぎやすくなります。
身近な方が引き取れない場合は、里親さんに繋げる方法を調べたり、地域の保護団体に相談したりしましょう。里親探しに関しては、こちらの「保護動物に出会う場所」を参考に、それらで里親募集することをご検討ください。
飼えなくなっても、できることはある
地域にもよりますが、自治体施設に犬や猫が飼い主により持ち込まれる理由で多いのは、飼い主の高齢化/死亡や引越しです。どちらも事前に想定できる場合と、急なケースがあるでしょう。ある日突然行き場を失う犬や猫にとって最も重要なのは、その先に適切なケアが保証されている事です。飼い続けられなくなった場合にあなたにできる事として、まずは地域の団体や活動家などに相談しましょう。SNSなどで活動している人に連絡を取るのも良いでしょう。本サイトの問い合わせからご相談いただく事も可能です。
同じような状況の飼い主さんは、他にもいらっしゃいます。一人で抱え込まず、今後その子が不安な日々を送らないよう、様々な方法を探りましょう。