譲渡会開催方法

譲渡会(じょうとかい)とは

譲渡会とは、保護犬や保護猫など、飼い主のいない動物の新しい家族を探すために開催される催しです。場所は各地域の自治体施設から動物病院、団体のシェルターやショッピングモール、お寺、その他の会場など様々で、動物を新しい家族として迎えたい里親さんが出会う機会となります。実際の譲渡は、会場で面談や申し込みを行い、後日トライアルという期間を経てから正式に行われます。

入場料や譲渡にかかる費用は、会場や主催団体の方針、または保護主により異なります。同じ会場で譲渡会以外に物販や啓発を行うところもあれば、「迎えることを真剣に考えている方のみ」を対象として入場料を徴収し、譲渡会のみを行うところもあります。

開催の意味

保護されている動物は、保護施設でのストレスや感染症、ケア/愛情を受ける時間の観点から、1日でも早く一般家庭で飼われた方が動物のために良いとされています。性格や健康状態等により譲渡会に参加できない/参加が不向きな子もいますが、譲渡会を開催することは、普段保護施設で暮らす動物の一生を180度変える数少ない機会を増やすことに繋がります。

開催方法

開催手順(一例)
  1. 計画

    まず譲渡会を開催する前に、以下について考えましょう。最初から完璧に準備する事は難しいため、回数を重ねるにつれて、その会場・スタッフ・参加者に合ったやり方を模索し、改善を重ねると良いでしょう。
    ただし、生き物を扱う催しのため、脱走などのトラブル防止は入念に確認しましょう。
    運営
    会場
    参加保護主/団体
    来場者
    譲渡

  2. 運営

    次に、実際誰がどのように運営するか、以下の書き込み式チェックリストを使って書き出しましょう。
    ①主催者/団体は、(              )
    ②現在手伝い可能なスタッフ・ボランティアさん=(    )名
    ③開催地域の現状は、保護<犬・猫・その他>が多い④譲渡会参加動物は(          )
    ⑤理想の開催頻度は<週・月・年>に(    回)、開催日時は(   日/曜)、時間は(     )
    ⑥開催する目標・目的は?
    ⑦譲渡会参加規約は、<ある・ない・作成中>
    →規約内容例:
    -条件(頭数、ケージ数、参加費の有無、
    人数、キャリアの参加、譲渡費の有無)
    -参加/申し込み方法
    -違反行為/対処法
    -正式譲渡までの流れ(里親申込書の作成、トライアル/譲渡契約書の有無)
    ⑧開催後の記録/反省用紙は<ある・ない・作成中>

  3. 会場選び

    主催者SNS等のフォロワー/支援者が多い場合を除き、集客は課題の一つです。できれば同じ場所で定期的に開催することで、集客にも繋がります。会場は以下の○付けチェックリストを活用し、お住いの地域で適した場所があるかリサーチしましょう。

    ①会場は、<使える場所がある・ご厚意で借りる・レンタルする>
    (例:会場レンタル、寺、動物病院、ショッピングモール等)
    ②会場は<無料・有料(     円)>
    ③有料の場合、採算がとれる計画が<ある・ない>
    ④上記の場所が何らかの理由で使用不可になった場合代わりの場所が<ある・ない>
    ⑤犬と猫参加の譲渡会にする場合、
    (1)十分なスペースが<ある・ない>
    (2)動物へのストレスを軽減する策が<ある・ない>
    ⑥来場者にとってのアクセスは<良い・悪い・普通>
    ⑦ケージを抱えた保護主/団体にとってのアクセスは<良い・悪い・普通>

  4. 参加者

    次に、譲渡会で里親さんを募集する動物の種類や、誰が参加できるかを考えます。主催者が保護団体の場合は、その団体やメンバーが保護している動物を参加させることが多いでしょう。

    中には個人保護主や一般枠を設けるところもあります。個人で保護する人や、活動家ではないけれどたまたま保護をした人にとっては、各地域に参加できる場が不可欠です。

    ①参加対象は<1団体・2団体会員・3個人保護主・4誰でも>
    →上記3と4の場合の参加募集方法:
    ②参加費用は<無料・有料(      円)>
    ③保護主/団体一組に対して、参加する頭数、ケージ数、会場のテーブル台数などによる制限は<ある・ない>
    (制限により、限られたスペースと参加者のバランスを取る)
    ④里親さんの申し込みから譲渡までのフォローはどこまでするか。またトライアルを設けるなどの条件はあるか。
    ⑤対象動物は<保護に限る・飼えなくなった動物含む>
    動物の種類は( 犬 ・ 猫 ・ うさぎ ・ その他 )
    ⑥キャリアの動物は参加<可能・不可>
    キャリア参加可の場合、隔離空間は<ある・ない>
    ⑦参加にあたり、規約や同意書は<ある・ない>
    ⑧猫の場合、会場でケージから出して抱っこすることは<可・不可>
    →可能な場合、脱走防止策は<ある・ない>

  5. 来場者

    譲渡会に来られる方々はどんな方で、どこで譲渡会のことを知り来て下さるかなどのイメージはありますか。狭い会場での人数制限や事前予約の有無など、人の流れを想像しましょう。

    ①来場者は<予約制・ウォークイン・その他(     )>
    ※予約制の場合、来場者が減ると予測される
    ②入場料は<無料・有料(      円)>
    ③集客は<SNS、ブログ、チラシを置かせてもらう、ポスティング、その他(    )>
    ④入場者人数/何を見て来たかの集計を<する・しない>
    (今後の集客方法の参考になる)
    ⑤多数来場の場合、入場制限を<設ける・設けない・未定>
    ⑥入場時間制限は<ある・ない・未定>
    ⑦里親申し込みの条件等の掲載は<ある・ない・作成中>
    (里親希望者が読めるよう紙媒体があれば役立つ)
    ⑧個人情報保護への配慮は<ある・考え中>

  6. 譲渡

    保護動物に申し込みがあった際、誰が連絡を取りどう進めるか、主催側がどこまで関わるかなどを決めます。決まった事項は当日までに、動物の所有権を持つ団体や保護主と共有し、共通認識ができているか確認しましょう。

    ①譲渡に関して主催側が定める共通ルールが<ある・ない>
    ②正式譲渡までの流れで、どこまで関与するか<決定済・考え中>
    ③譲渡費用は<主催側が決める・各保護主が決める>
    →費用は<個別・一律(       円)>
    ※無料での譲渡は無責任な飼育や放棄に繋がりやすく、費用は譲渡動物に既にかかった医療費等を補い、保護主が継続して活動するために必要な経費でもあります
    ④里親申し込み用紙は<主催側が用意・各保護主が用意>
    ⑤記入後の申し込み用紙は<主催側・保護主>が保管、もしくは複写式用紙で双方が保管<はい・いいえ>
    ⑥共通の条件として、トライアルを<設ける・設けない>
    ⑦正式譲渡完了後、主催側への連絡は<必要・不要>
    (累計譲渡数の記録などに有効)

  7. 終了後

    譲渡会に動物を連れて参加する団体や保護主の皆さんは、どうかその日に里親さんが見つかって欲しいと言う思いで参加されます。特に猫はトイレや水がない状態でケージに入ったままになるため、会場までの移動時間を含め、全体で3−4時間以内に元の場所に戻れるようにしましょう。

    自身の保護動物に申し込みがあった団体や保護主さんは、別日に改めて里親さんへ連絡し、自宅訪問やトライアルの日を設けるなど忙しい日々を送ります。しかし、主催者が譲渡数の記録をつける場合は、必ず正式譲渡が決まったら連絡をもらうようにしましょう。申し込みがあったのに連絡がない場合は、こちらからフォローアップする必要があるでしょう。

    開催する際は、初回から来場者数や収支、参加頭数、申込者数、改善点の意見、当日起こったトラブル等を記録し、今後の改善に役立てましょう。

開催前にリサーチを

譲渡会を開催したいと思ったら、まずは近隣の譲渡会を見学すると良いでしょう。会場の使い方や参加動物、頭数、受付案内、人の動線など、参考になる発見があるかもしれません。開催することが決まったら、近くの譲渡会をリサーチし、同じ日時に開催しないよう配慮して設定したり、参加する猫や連れてくる保護主、来場者など様々な立場に立って想像しましょう。

保護された動物が、可能な限りその地域の里親さんに繋がりますように。各地で譲渡会が当たり前になり、それを見て育った子供たちが「未来の飼い主」となった時、同じように譲渡会から迎えてくれますように。そんなきっかけが各地で生まれることを祈ります。